入社5日で月給85万円のはずが30万円に! システムエンジニアが転職先で直面したヤバすぎる「減給・降格トラブル」

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労基署や「連合」はまったく頼りにならない

 次の問題は会社に対してどのように対応するかということでした。会議室の面談では結論を出さずに退席しましたが、このままでは減給処分になりかねません。

 「私はエンジニアなので、ネット検索によって解決策を見つけようと考えました。その結果、検索窓にキーワードを入力して上位に表示されたのが、労基署(労働基準監督署)や東京都労働相談情報センターなどでした。

 そこで翌日は腹痛を理由に会社を休み、翌日以降はメンタルクリニックでもらった自立神経失調症の診断書を会社に提出してしばらく休むことにしました。その間に労基署などに相談して対応してもらおうと考えたのです」

 しかし、結論からいうと、労基署も労働相談情報センターも渡辺さんの力にはなってくれなかったそうです。

 「解雇や給料不払いなら対応してくれるらしいですが、私のケースでは行政は対応できないそうです。『給料が振り込まれなかったらまた来てください』と言われました。

 一方、その間にA社からは自宅に『マネージャーとして不適格なので月給30万円にする』という旨の内容証明郵便が届き、事態はどんどん悪化していきました」

 行政がダメなら労働組合に相談する方法があります。渡辺さんは、やはりネット検索で上位に表示された「連合東京(日本労働組合総連合会東京都連合会)」という組合に電話をかけて、事務所を訪れたそうです。

 ところが、連合東京も頼りになりませんでした。連合は日本最大の労働組合ですが、ここは労働者よりも企業側に立ってものごとを考える傾向が強く、A社に対して団体交渉さえろくに行ってくれなかったそうです。

 渡辺さんは当時(2017年時点)のことをこう振り返ります。

 「連合東京は、団体交渉をしてきましたと言いながら、毎回ゼロ回答で帰ってきて、会社側にも事情がある、あなただけの要望が通るはずがない、とか逆ギレしてきた時は本当に腹が立ちました。

 業を煮やして弁護士に相談することも考えましたが、ネット検索して上位に表示されるのはやっぱり企業側の弁護士事務所ばかり。いくら検索しても、労働者の力になってくれる人や団体がほとんどいないことにすごく驚きました。

 実際に、私が最後に頼ったのは『ユニオンちよだ』という労働組合だったのですが、ここが出てきたのは検索順位の本当に下位の下位。普通に検索していたら、まずこの労働組合までたどり着かなかったと思います」

労働審判で和解金500万円を勝ち取ることに成功

 ユニオンちよだは、共産党系の全労連(全国労働組合総連合)という労働組合の下部組織です。共産党系と聞くとそれだけでアレルギーのある人もいるかもしれません。

 しかし、渡辺さんは「もう共産党系がどうのこうのと言っている場合ではなかった。ユニオンちよだに頼る以外に方法が残されていませんでした」と言います。

 「結果的に、ユニオンちよだは本当にいい組合でした。すぐにA社と団体交渉を行ってくれて、『就業規則を出してください』『どのような評価に該当して降級になったんですか』と、理詰めで会社側を追及していくんです。お金で解決というところまで持っていってくれました」

 もっとも、解決金は200万円程度だったため、最終的にはユニオンちよだが紹介してくれた弁護士のすすめにより労働審判を申し立てることになったそうです。

 労働審判とは、労働問題を裁判官1名と専門知識をもった労働審判員2名が審理する裁判所の手続きで、「申し立てから終結までが早い」「提出書類が申立書と答弁書のみなので手続きが簡単」といった特徴があります。

 それにより渡辺さんはA社から500万円の和解金を受け取ることができました。ただし、この問題が起きてから約1年が過ぎており、本来なら1020万円の収入があったわけですから、この金額はけっして多くありません。この中から弁護士費用やユニオンへの成功報酬もかかってきています。

 次回は、渡辺さんが直面したこのトラブルを法律的に掘り下げ、「A社のどういう部分に問題があったのか」「会社に不法行為があったとき、労働者はどんな行動を取るべきか」という点について弁護士と一緒に考えていきます。

(取材・文/清談社)

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