アルバイトから社長まで すべての立場の人が正しい知識を学ぶ意義
労働トラブル相談士は、どのような人が受けるべき講座なのでしょうか?

須田美貴さん アルバイト、派遣社員、日雇い労働者、契約社員、正社員と、“働く”という行為に携わるすべての人に受講してほしいです。そのため、本講座に年齢制限は設けていません。
よくある事例として、アルバイトの学生が「仕事を辞めたい」と店長に申し出ても、なかなか辞めさせてもらえないというケースがあります。しかし、学生であれ、働いているかぎりは労働基準法が適応されるので、本来は1カ月前に申し出ればスムーズに退職させるべきです。しかし、なかには「店長がいうなら仕方ない」と、知識がないせいで泣き寝入りする人も多いです。
また、契約社員が正社員と揉めた際に、「私みたいな身分が低い人間が会社に抗議してもいいのかな……」と感じてしまうケースもあります。しかし、労働基準法では、雇用形態に関わらず、労働に従事している人への権利は平等。そこで立ち向かうために必要な知識を、ぜひ本講座で養っていただきたいです。
立場の弱い労働者が、企業から搾取されずに生き延びるための術を身につけられるんですね。
須田美貴さん もちろん、上の立場にいる人が受講する意義もあります。特に、すぐにブラック企業と認定されやすい今の時代、社長や役員など、立場のある人間が正しい知識を持たないリスクは大きいです。
たとえば、パワハラを受けた社員が鬱になって休職したとします。その場合、労災申請を申し出るのが一般的ですが、労災は認定されるまでに時間がかかる。そのため、一時的に傷病手当を給付し、労災が認定され次第、傷病手当金を払い戻すというのが一般的な対応の仕方です。
しかし、ネットをみると「労災を申請すると傷病手当金は下りない」といった誤った情報が流れています。もし、上司がその情報を鵜呑みにして対処した場合、その社員は本来もらえるべきお金が入らなかったために、会社に対して訴えを起こす可能性も十分あるでしょう。
もし、その上司に悪意がなかったとしても、曖昧な情報に頼って対処したことで部下を傷つける恐れがあります。すると、社内での信頼を落とすばかりか、ネットでの炎上事件や裁判沙汰に発展するなど、二次被害に繋がる危険性がある。その予防のためにも、立場が上の人こそ、知識という武器を身につけてほしいと思います。
こうして聞くと、立場の違いに関わらず、働く上で知識がないことの恐ろしさを感じますね。そもそも、多くの人が“働く”という行為に携わるはずなのに、なぜこれだけ労働に関する知識が根付いていないのでしょうか。
須田美貴さん 義務教育のなかで、労働に関する知識を学ぶ機会がないことが大きな要因だと思います。本来であれば、アルバイトを始める高校生の段階で、こうした知識を身につけておくべきです。
また、日本人の美徳として、「厳しい指導は愛のある証拠」といった価値観がありますよね。これは、職人などの師弟関係が重要視される職業に多く見られます。しかし、上司からの暴言によって部下が疲弊していくのは、れっきとしたパワハラに当たります。労働に関するリテラシーを正しく身につけることで、上司と部下の歪んだ関係が見直される機会にもなればと思います。
最後に、この講座に興味を持った人たちへのメッセージをお願いします。
須田美貴さん 先に触れたように、社内で起きる労働トラブルのなかには、悪意がなくとも、ただ「制度を正しく知らなかった」という理由で起こるケースもかなり多いんです。労働者として、知っておいて損することのない情報をまとめているので、自分自身の身を守るため、そして不当なトラブルに遭った人を助けるためにも、ぜひ一度、本講座で正しい知識を学ぶ機会を設けてほしいと思います。
(取材・文/清談社)
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