株式会社グラールは、労働トラブルに関するアンケート調査の結果を発表した。(実施期間:2022年4月20日~2022年4月21日、対象:学生・専業主婦を除く18~64歳の男女、有効回答数:1,222、調査方法:インターネット調査Surveroidを利用)
労働条件通知書の理解率は16%、割増賃金は24.5%。男女で理解率に顕著な差
Q1では、「労働組合」「労働三権」「36協定」「解雇予告手当」といった、労働に関する10の用語について、それぞれ理解度を聞いた。結果、各用語について「内容を理解している」と回答した平均は21.3%と驚くほど低かった。
「労働組合」の理解度は38.1%あった一方で、「労働条件通知書」については16.0%にとどまり、就業経験があれば一度は渡される通知書の内容を、84%もの人はわかっていないという実態が浮き彫りになった。

男女別では相当な差がみられた。男性の場合、「内容を理解している」と回答した全体の平均が27.3%に対し、女性は14.2%と2倍弱の知識の開きがある(※今回の調査は専業主婦は対象から除いている)。
年代別だと、特に差が大きかったのは「労働組合」の項目だ。18~29歳の理解度が24.6%なのに対し、50代になると50.7%まで上昇しており、年齢が上がるにつれ理解度も上がることが判明した。興味深いのは、後述するQ7では、18~29歳の労組加入率が33.0%に達しているのに対し、60代では8.8%と真逆になっていることだ。若年層のなかには、わけもわからず労組に加入させられている人も一定数いるとはいえ、労組に対する認知意欲率は非常に高いといえるだろう。一方、5、60代の労組への意欲率は極めて低い。御用組合と呼ばれた時代から若い世代では、労組への認識が急激に変化しているようだ。
労働トラブル経験の有無による理解度の差も見られた。「内容を理解している」とした全体の平均が、「労働トラブル経験有り」の層では28.2%だったのに対し、「労働トラブル経験無し」の層は15.2%。ここから、労働法の知識の深さと労働トラブル発生率が比例しており、知識の浅さは労働力を搾取されることに直結することが読み取れる。さらに、「労働組合・労使協定 両方理解している」層では、10の語句それぞれについて「内容を理解している」と回答した平均が71.9%なのに対し、「労働組合・労使協定 両方理解していない」層では3.0%となった。知っている人はおおよその労働に関する事項をまんべんなく知っているが、知らない人はまったく何も知らないという、2極化の傾向があるようだ。