労働トラブルの経験率は53.7%!パワハラは4人に1人が経験と回答
Q3では、就業経験のある人がどのような労働トラブルに遭ってきたのかを聞いた。すると、過半数の53.7%もの人がトラブルに遭った経験があると回答した。
労働トラブルの種類別にみると、「パワハラ」が26.6%でトップとなり、就業者の約4人に1人が経験していることになる。特に、4、50代の経験率が突出しており、この年代がターゲットにされやすい、あるいはバブル終焉から氷河期にかけて、企業のコンプライアンスが未成熟な時代の矢面に立たされたなどの背景が考えられる。ほかのトラブルについて、2位以下は、「長時間労働」19.3%、「残業代未払い」18.6%、「いじめ、嫌がらせ」16.1%、「有給休暇を取らせない」12.8%と続いた。
男女で経験率に差がついたトラブルもある。「長時間労働」「残業代」に関するトラブルでは男性の方が顕著に多く、「セクハラ」「いじめ、嫌がらせ」は女性の方が多かった。年代別にみると、40代以上で「雇止め」、50代以上で「退職勧奨」が多い結果となった。

また、労働法への理解度の高さと、労働トラブル発生率は比例関係にあった。労働法の知識が浅いと、トラブルをトラブルと認識せず見過ごしてしまっている可能性がある。あるいは、実際に労働トラブルに遭ってからはじめて労働法への認識を深めているのかもしれない。どちらで解釈するにせよ、このデータには、働くうえで労働法を知らないことの恐ろしさが表れているといえる。
日本企業の3分の1がブラック企業という現実、一方でホワイト企業も約2割存在
Q6は、これまで勤めた会社が、いわゆるホワイト企業・ブラック企業のどちらだったかを5段階で聞いた。結果、「一番最初に働いた会社」では選択中央値が2.79となり、日本全体ではややブラック企業寄りに傾倒していることがうかがえた。ただ、「一番直近で働いている(いた)会社」をみると、「ふつうの企業だと思う」が50.7%、「かなりホワイト企業だと思う」「そこそこホワイト企業だと思う」の合計が20.4%となり、職場環境の改善が叫ばれている昨今ではあるものの、意外と捨てたものではない企業が一定数存在することも考えられる。また、年齢が高くなるほど、特に50歳以上で「かなりブラック企業だと思う」「そこそこブラック企業だと思う」の回答率が下がることから、この世代がいかに恵まれた就労環境であったかが分かる。

労働トラブル経験の有無と、ブラック企業の経験率にも関係性が見られた。「一番在籍が短い会社」について、「労働トラブル経験有り」では選択中央値が2.34に対して、「労働トラブル経験無し」では選択中央値が3.06である。ブラック企業がゆえに労働トラブルに遭ったとも取れるが、労働トラブルに遭ってから初めてブラック企業と認識した可能性もある。また、労働組合や労使協定について理解している層のほうが、「かなりブラック企業だと思う」「そこそこブラック企業だと思う」と回答した割合が有意に高かった。