大手警備会社テイケイが退職強要、被害者はユニオンに加入して問題を解決。「労働組合」のメリットとは?

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退職強要や賃金未払いで力を発揮する労働組合

有賀さんたちはその後、どうなったのでしょうか。

 結論からいうと、「こんなやり方はひどい」とテイケイへの怒りに震えた有賀さんは労働審判を申し立て、その後裁判に移行し、今年3月25日、雇用関係にあることを前提に判決確定の日までの約3年間の賃金支払いを命じる判決を勝ち取りました。

 テイケイから受け取っていた給料は週給7万円だったので、単純計算すると月給28万円となり、年間では336万円。その3年分なので、未払い賃金は約1000万円になります。

 毎週水曜日の業務実績報告をめぐる未払い賃金についても、有賀さんは東京地方裁判所に未払い賃金請求訴訟を起こし、こちらも3月に結審して現在は判決を待っている状況です。

 有賀さんはなぜ退職強要に泣き寝入りせず、業界大手の会社と闘うことができたのでしょうか。それはやはり、労働組合に相談して加入したことが大きかったようです。

 そもそも労働者は退職勧奨に応じる義務はなく、退職強要はやってはいけない行為です。

 労働者は会社に比べて立場が弱いので、その地位が法律で保護されています。法律上、会社側が自分勝手な理由で従業員を解雇することはできないのです。そのため、会社側は辞めさせたい従業員に圧力をかけて、自分の意思で退職させようとします。

 しかし、いくら退職強要は不法行為だからやってはいけないといっても、会社が話し合いに応じなかったら問題は解決しません。こんなときに労働者の頼れる味方となってくれるのが労働組合です。

前出の清水さんは労働組合のメリットをこう話します。

 「雇用側と雇用される側では、どうしても雇用側である会社のほうが労働者よりも力が強く、個人が話し合いを求めても拒否される場合があります。ところが、労働組合が団体交渉を申し込んだときに会社側がこれを拒否すると、法律違反になります。

 労働組合は憲法や労働組合法によって、団体交渉をする権利が認められているからです。だから、労働組合は労働条件をもっとよくしたり、退職強要や賃金未払いといった会社とのトラブルを解決したりするときに力を発揮することができるのです」

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